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ウラジミール・ユロフスキ指揮ロンドンフィルで「シンデレラ」を視聴する [音楽]



♪音楽千夜一夜第85回

ロンドン郊外のグライドボーンで05年6月に開催されたロッシーニの「シンデレラ」のオペラ公演映像です。

初夏のグライドボーンでは、幕間にシルクハットの紳士やドレスの淑女たちが連れ立って緑地を散歩したり、サンドウイッチとワインなどを楽しんだりしているようですが、まことに英国らしい貴族的な環境のようです。

ピットに入っているのはいつものように小編成のロンドンフィル、指揮者は若手のウラジミール・ユロフスキという人ですが初めて聞く名前です。序曲からしてすでにおなじみのクレッシェンドがうねうねと盛り上がり小さなピークを迎えた所で第1幕が始まります。

シンデレラの物語はあまりにも有名なので繰り返しませんが、シンデレラって「灰かぶり」という意味なんだそうです。日本でも鉢カブリ姫というのがあるようですが、あばら屋に住み粗末な身なりをした地味な娘にふさわしいネーミングですね。そして男爵と2人の馬鹿娘にいじめられ続けたその「灰かぶり姫」が、王子様に見染められて晴れてプリンセスの座を射止めるまでの奇跡の玉の輿物語をロッシーニは楽しみながら作曲しています。

聴きどころはやはり第1幕のフィナーレの大合唱でしょうか。ここではめくるめくようなクレッシェンドの繰り返しがミニマルミュージックのような陶酔と眩暈を生みだしほとんど悪酔いを覚えるほどです。これは喜劇王ロッシーニの悪魔的な側面ではないでしょうか。

その前半に比べると後半の第2部はかなり冗長で緊張感に欠けますが、最後のシンデレラの長大なアリアで1巻の終わり。めでたくハッピイエンドを迎えます。

歌手、オケ、指揮いずれも可もなく不可もないなかにあって、特筆すべきはやはりピーターホールの演出でしょう。舞台の設定、美術、衣装、照明にいたるまで当時の時代背景を忠実に反映し、重厚で写実的ななかにも華麗で優雅な雰囲気をしっとりと漂わせ、ともすれば軽薄なドタバタ劇に転落しかねない本作品を本格的な演劇的オペラとしてしっかりと支えています。

出演はアンジェリーナ(シンデレラ)、ルクサンドラ・ドノーセ、ドン・ラミロ(王子)、マキシム・ミロノフほか。


♪あなたと私夫婦であぶる仲良しこよし 茫洋


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