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吉田秀和述「モーツァルトその音楽と生涯第4巻」を読んで [読書]

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照る日曇る日第753回&音楽千夜一夜第340回


 この巻では1782年から86年にモザールが作曲した「ハフナー交響曲」、「ハ短調ミサ」、「リンツ交響曲」、弦楽四重奏曲「狩」、ピアノ協奏曲k466、467、「プラハ交響曲」などが扱われているが、やはり中核をなすのは「フィガロの結婚」でありましょう。

 故吉田翁はこの世界一のオペラ(と私は考えています)をショルティ&ロンドンフィルの演奏で紹介していますが、私ならフルヴェンかベームかクレンペラーかエーリッヒ・クライバーかと迷った挙句に、クライバー&ウィーンフィルにするでしょう。

 普通の指揮者のだとCD3枚組ですが、これはあまりに快速なので2枚に収まるのもお得だし、何よりも演奏が圧倒的に素晴らしい。序曲の弾みからしてシャンパンのように沸き立つ生命の祝祭そのもの。1955年の録音なのによくぞステレオで入れてくれたと、今は亡きデッカの技術陣に感謝したくなります。

 でも、でも、もしも、もしも息子のカルロスが振ってくれたら、間違いなくもっと凄い演奏になったはずなのですが、ないものねだりしても仕方がありませんね。

 吉田翁も指摘されている通り、この曲の急所は終幕第14場で、阿呆莫迦アルマヴィーヴァ伯爵が「Contessa,perdono」と謝ると妻のロジーナが「Piu docile io sono E dico di si」
とすべてを呑みこんで許してやる数小節にあるのですが、録音でもライヴでもこの瞬間に全世界が静止して「皆許しの天使」が宙空から降臨しない演奏はみな失格です。

 なお、本巻でも1枚のCDがおまけに付いていて、懐かしき翁の声音を音楽の抜粋と一緒に聞くことができます。


    壇ダダン弾ダダン段々無くなる権威のお城 蝶人

タグ:読書
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