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すべての言葉は通り過ぎてゆく 第30回 [エッセイ]

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西暦2015年師走蝶人狂言畸語輯&バガテル―そんな私のここだけの話 op.221



生協の配達の女性が「今日で仕事を辞めます」と告げた。すべてに別れというものがある。12/1

決められた原稿ばかり読み続けているアナウンサーが、公共の電波を通じてではあるものの、些細な私事や、常日頃自分が胸中の奥底に秘めていた感懐を吐露することは、年に一度くらいは許されてもよいのではないだろうか。12/2

朝日新聞の同じぺージに連載されている沢木耕太郎の「春に散る」の下らなさと、大昔の漱石の「門」の面白さを見せつけられるにつけ、小説の進歩などないのだと思わせられる。12/3

思うに新聞小説には、本編の「大きな山」のほかに日々掲載される原稿の中にも「小さな山」がなければならない。「それから」でアマチュア作家を脱してプロフェッショナルに変身した漱石には、そのことが分かっていたが、沢木選手は呑みこみが悪いようだ。12/4

いくら節約を旨としていても、冠婚葬祭や突然の事故や病気や手術や入院や療養費、あまつさえ不条理な税金のふんだくりを強要されるので、結局この世ではいくらあってもお金が足らないということになる。12/5

年賀状だって毎年もうやめにしようと思うのだが、こちらがやめても向こうから来れば書かざるを得ないし、これが浮世の義理人情だと思いながら、今年もそして来年も続けていくのだろう、わが人世のごとく。12/6

とても大事だと思っていた件に限って、度忘れしたり無意識に棚上げしていたりする。人世なんて、あっという間に流れ去ってしまうというのに。12/7

御大層な大理論は私には無用の長物だ。ふと流れてきたひとふしの調べ、ふと小耳にはさんだ片言隻句に激しく心惹かれるのである。12/7

憲法9条の戦争放棄の規定は、同時進行していた国連の理想実現への努力とわかちがたく結びついていたのでした。日本は世界に先んじてモラル・リーダーシップを発揮するのだと46年2月21日にマッカーサーは幣原首相に述べていたのです。加藤典洋「戦後入門」12/9

安保法制については自民の言いなりになっておきながら、目糞鼻糞の軽減税制について赤ん坊のようにグジャグジャいちゃもんをつける。公明党ちゅうのはどうしようもない政党だな。12/9

そもそも「維新」なんて名前がダサすぎる。こういう名前を有難がり、こういう名前が象徴するなにやらきな臭い思藻のようなものに慕い寄ってゆく政治家の、時代錯誤の知性と感性からは、もはやなにも期待できないな。12/9

同じ局でも、アナウンサーによって金星探測機「あかつき」のアクセントがちがう。最初は「か」を強く上げていたのに、途中から4文字を同じ高さでフラットに発音するように転向したアナウンサーもいた。ま、どうでもいいようなものではあるが、どっちが正しいのだろうね。12/9

晩年にリヒテルがイタリアの寒村で演奏したバッハを聴いていると、人世と音楽がひとつに溶け合った枯淡の境地がゆくりなく伝わってきて、ああ、これでいいのだ、という気持ちになってくる。12/12

軽減税率を巡る自公のボス交のおかげで、彼奴等が公約していた「社会福祉への手厚い配慮」などは完璧に闇に消え去り、その代わり増税に次ぐ新たな増税が浮上してくるというわけだ。消え去るべきは自公だ。12/13

「自虐史観」批判と「自賛史観」肯定は謝罪および謝罪要求の回避という1枚のコインの表と裏なのです。加藤典洋「戦後入門」12/14

障害基礎年金を受け取っている精神・知的・発達障害者のうち、1割に当たる約7万9千人が、来年度から支給停止や支給減額になる恐れがあるそうだ。自公民草テロ政権は、富裕層を限りなく優遇し、返す刀で貧民老人病人障碍者を限りなく抑圧しようとしている。12/15

対米従属を脱し、国民本位の政治的自由を回復しなければなりません。つまり完全な独立国家となることが必要です。しかしそれは一国的ナショナリズムのためではない。インターナショナリズム、国際主義を通じての「誇りづくり」がここでの理念的基軸なのです。加藤典洋「戦後入門」12/14

斉藤斎藤、蘇我倉山田石川麻呂、クルム伊達公子、ヨハンネス・クリュソストムス・ウォルフガングス・テオフィルス・モザル。夫の姓か妻の姓かの二者択一でなく、その両方を取り込み複合する重層的な第三姓を創造することが、自由な個人が作る新しく自由な家族にふさわしい。12/18

定義不能な、しかし大臼歯に潜む虫歯のように、明らかに急速に進行しているファシズムの暴威が、われらの市民社会の土台骨を揺さぶり、その地下茎を腐敗させている陰々滅滅たる軋みと震動が聞こえてくる。12/19

それにしても、芸能人やタレントやらモデルに踊りながら歌を唄わせ、商品名を連呼させればそれで一丁上がり、と考えている企業や広告製作会社やクリエイターの知性と感性の劣化は、そら恐ろしいばかりだ。12/20

自民党に政治献金を始めた銀行なんかに、おいらのなけなしの現金を預けたくないな。12/20

「どん兵衛」とかインスタントラーメンを食べるとまずくて軽い吐き気を覚えるが、中国や東南アジアの人たちもようやくそれに気付き、(ずっと以前から気付いていてもお金がないから仕方なく食べ続けていたのだ)、ちゃんとした普通のラーメンに触手を伸ばすようになったそうだが、こういうのを食の進歩というのだろう。12/20

27年間同じ場所に立ち続けた天皇が、いつのまにやら戦後民主政治の最大の擁護者として、左岸に突きだす灯台の一隅を照らす光になろうとは、いったい誰が予想しただろうか。12/23

クルト・マズア死す、88歳。この指揮者はドイツ統一の旗頭として名をあげ、NYフィルのシェフになったりしたが、肝心の音楽ではメンデルスゾーンの交響曲録音以外ではあまり記憶に残っていないなあ。12/24

国の赤字が1000兆円を突破しているのに、安倍蚤糞はそこにはまるでメスを入れず、膨大な金を外国にばら撒いたり、軍事費を限りなく膨張させたり、軽減税率で公明党や新聞社の御機嫌を取ってぬかりなく参院選対策をしながら、次世代につけを回している。12/25

降誕日の朝、異なる3か所で光と戯れる4頭の紫小灰蝶(ムラサキシジミ)を見た。幼虫の食草は常緑のカシ類。成虫で越冬するのだが、無事に春まで生き延びてほしいと願わずにはいられない。12/25

さて問題です。ナチの手先になってフランス国民を裏切りながら20世紀のふぁちょんを革命した女ココ・シャネル。その罪と功績はどちらが大きいでしょう?12/25

ユニクロのパンツはわりあい簡単にジッパーが故障する。あれは左翼と右翼が呵責のない非妥協的な戦いを開始してしまい、第三者機関が上を下への大騒ぎをして調停不能でもはや誰も身動きできなくなったせいだ。12/25

善き人の善き詩に出会うと、自分も善き詩を書きたくなるが、そうではないと詩なんか全然書きたくなくなる。12/24

「いいね」を押すのは単なる礼儀や無自覚な反射的行為であったとしても、その心根の奥に背後にあるのは好意の贈与であるから、それが分かった人は、その贈与をいいねで返す。12/27


  死に急ぐこととも知らず益荒男はひたすらけなげに生き急ぐなり 蝶人

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